

前作「タイプR」の製作から10ヶ月、待望の(?)新作です。
タイプRはその名の通りペットボトルSPのリファレンスを目指して製作したもので、ルックスはもちろん音質も納得できるものでした。その完成度の高さゆえに次回作がなかなか決まらず手付かずの状態が続きました。
そんな中、にがさんのHPでもペットボトルSPが取り上げられ、ちょっとしたブームが巻き起こりました。中でもこのusaginさんの製作された焼酎ボトル2本を使ったビッグなスピーカーには正直やられました(^^;
元祖ペットボトラーのbasilさんも「あの焼酎のボトルは反則だよね」と申しておられました(笑)
ウチも負けてられません!今回はちょっとアタマを柔らかくして「音質追求も結構だけど、もっと楽しい方向で...」ということで、前回のターボシチリンに続きペットボトルSPもターボ化させてみました。こいつの楽しさはタイプRを超えています。
事の始まりはコレです。
某ハードオフにてアダプター無し未チェックというものを500円で購入したジャンクスピーカーです。まだカウンター横に置いてあったものを即ゲット!パソコン用ですが、中身はYST方式となっています。
まず、バラす前にストック状態で試聴。
とりあえず、ノイズの多さには驚きました。実験用安定化電源を使用しているにもかかわらずハム音も出ていますので、アースラインの引き回しに問題があるようです。分解能は低く音が大振りになっているような鳴り方ですが、低音再生能力はなかなかです。まぁPCのMP3向けの音ですかね。今回ペットボトル化させるにあたって、このアンプユニットも大幅にリファインさせて高音質化させてみる事にしました。
バラしてみると、こんな感じでした。YST(ヤマハアクティブサーボテクノロジー)を名乗るものだから、凄い回路なのかと思ったら、普通
のICアンプでした。それを普通に電流帰還させているだけ...どこがアクティブサーボなんだぁ?!
良く見ると、要らないトーンコントロール回路などがあるので、このへんは撤去してしまいましょう。
というより、そっくり作り直した方がよさそうです。
普通、アンプは電圧を負帰還するのが一般的ですが、この電流帰還アンプはその名の通 り電流を正帰還して動作させます。どうしてそんな事をするのかといいますと、スピーカーには4オームとか8オームといったインピーダンスという抵抗が必ずあります。ちょっと昔に「超伝導」なんていうのが流行りましたが、スピーカーも「超伝導」状態で使用出来れば、物凄い駆動力を得ることができるハズです。
しかし、スピーカーを液体窒素漬けで使用することは不可能です。それではどうすれば良いか?磁気回路を強化する事によってそれに近い効果 を得ることが出来ます。実際、強力な磁石を装着したユニットは強力にダクトをドライブ出来ますよね?それじゃぁ、でかいマグネットを付ければいいじゃないかと思われますが、磁石には飽和などによる限界があり、ある一定以上マグネットを巨大化 させても効果がマグネットのでかさに比例しなくなります。
それならアンプ側で抵抗を引いてやればいいじゃないか!というのがこの電流帰還による負性インピーダンス駆動なのです。アンプ側で引いてやることで実質的には1オーム以下でドライブすることと同じ状態を作り出すことが出来るのです。つまり、駆動力を強化してダクト共鳴効果 を最大限に引き出してやろうというのが今回のturbo-Sの狙いです!
クルマの(社外)マフラーを思い浮かべてみて下さい 。あの細いパイプから重低音(爆音)が出ますよね?あれと同じ理屈です。
ただでさえ飲み口ポートが響くペットボトルにこの電流帰還アンプを組み合わせれば.....これは期待出来ます!!
まずはスピーカーから製作開始です。今回のバッフル板は雑貨屋で売っていた「コースター」を利用しました。リンゴの形や丸いやつなど色々ありましたが、このカタチを選びました。価格は1個148円。それをスピーカーに合わせて会社で加工し、ニスで塗って磨いて、また塗って...と休憩時間毎に繰り替えしました。
これを見ていた会社の先輩達は子供のおもちゃを一生懸命作っているのだと思って感心していたそうです。真実を教えたらた呆れられました(笑)
すっげーピッカピカです!木目も美しいでしょ?!
今回フレームにはアルミ棒を選びました。旋盤で両側にタップを切ってボルトが入るようにし、使うボルトの頭も旋盤でカットしたりと細かい加工を施しました。
アルミ棒をスピーカーのフレームに直接取り付けて組み立てていきます。
今回使用したボトルは500mlの「生茶」です。最初はコカコーラでやる予定でしたが、ユニットのマグネットが当たってしまい急きょこのボトルに変更しました。
今回はバッフル板にはネジ穴加工しませんでした。見た目重視ということで。
だんだんらしくなてきました。
ユニットの口径は7センチで、サイズ的にはFE-87系よりひと回り小さい、テクニクスの7F10クラスです。防磁されているのでテレビにも安心です。
ユニットとバッフル板の接着にはホットボンドを使いました。すぐに硬化するのと仕上がりもキレイなのでお気に入りです。
完成です!なんか、タイプRよりもキレイなんですけど(^^;
やっぱり、木目っていいですよね。
本来ならこのような加工はルーターを使うのですが、私はルーターを持っていないのでヤスリで曲面
加工しました。ヤスリだけでも努力と根性でここまでできるもんです。
これなら部屋に置いといても恥ずかしくないでしょう!
とりあえず試聴!
500円のジャンクスピーカーのユニットですが、驚いたことにとても良い音が出てしまいました!
華やか過ぎる感じはあるものの、見通しの良い音です。J-POPなどはゴキゲンで、この手のジャンルならタイプRよりも得意かもしれません。
ストック状態では解像度が甘く感じましたが、そんなのは何処へやら.....それだけアンプ回路に問題があるのでしょう。
次は専用の電流帰還アンプの製作です。
秋葉原でパーツを調達しましたが、最後に悩んだのがケース。けっこうお高いです。2000円くらい出さないとカッコイイのが買えません。悩みましたが結局買わず.....。
帰りにハードオフに寄ったらこんなのが100円であったので即ゲット!これはいいケースだ!
しかしこれ、なんなんでしょうか??
アンテナポジショナーとか書いてあるので、無線家が使うローテーターみたいなモノでしょうか?でかいトランスが入っていました。背面 にはスピーカー端子として使える端子が標準装備されています。これはいい!ラッキーです!
トランスも立派なので使えるか電圧を測定したところ35V程度あり、これを整流なんかした日にゃ、ICの絶対最大定格を軽く超えて逝ってしまうので、仕方なくトランスは後から購入しました。
蛇の目基板でアンプを組みました。カップリングコンデンサはMUSE、出力カップリングは3パラで低インピーダンス化、初段はNJM4580DD、終段はLA4485というシンプルな構成で、もちろん電流帰還による負性インピーダンス駆動方式です。
電源は6800uFを4個使用というクラスを超えた超大容量強力電源です。こういうケタ外れな事ができるのも自作ならではですね。
100円のケースに組み込みました。
ほんと、丁度良いケースでした。
トランス横のヒューズホルダーには危険なヒューズが付いています。良い子は絶対にマネしないでね!
完成です!
ボリウムのツマミは旋盤で自作の無垢削り出しのアルミ製です。けっこうカッコいいのですが、本体とはミスマッチでしたね...。作っている時のイメージと大違いでちょっとガッカリ?!
ま、無垢削り出しなのでVRの制振作用が期待できる...んなワケないですね(^^;
こんな感じで手軽なデスクトップシステムを組む事も可能です。
いやぁ、今回のは安く上がりましたが手間はかかりましたね(^^)
でも、それなりに良いものが出来ました。満足満足!
ジャンク品をフルに活用して安く作ったものですが、その音質はタイプRに迫るものがあります。最初のストック状態での試聴の際に強く感じられた分解能の低さは影をひそめ、楽器の一つ一つが正確に表現されています。音場も自然でこれなら長時間聞いていても疲れません。ノイズレベルも高品位 な初段回路と1点アース法を徹底させたため全く問題ありません。
そして何より今回最大の目的だった低音再生能力は予想以上のものがありました。電流帰還アンプの効果 がハッキリと確認出来、500mlという小容量にもかかわらず低音再生能力では1500mlのタイプRとタメ張ります!飲み口ポートからはかなりの風圧が出てビンビンに効いています。このサイズでもジャズを気軽に楽しむことができました。
しかし、どうもポートがカラ振りしているようなので、飲み口ポートを少し絞ったりアンプ回路の定数を変更して遊びながらセッティングを出したところ、驚くほど本格的なサウンドが楽しめるようになりました。これはもう総製作費4000円弱で作った音ではないです!
低音の量はもちろん、質感もなかなかのものです。高域は多少華やかさがあるものの、ソコソコの音量 でも飛び散らずにしっかり再生してくれます。最近のICアンプ、侮れません!!
まずは大、大成功といったところではないでしょうか?たしかに山水のピュア2CHアンプ+タイプRのような「余裕」はありませんので、録音状態がおせじにも良いとは言えないミスチルの肉骨CDなんかでは少々寂しい音になってしまいますが 「ニシエヒガシエ」のような曲は楽しく鳴ってくれます。Misiaでは張りのあるヴォーカルとキレの良いサウンドをバッチリ鳴らしてしまうところは予想を遥かに上回る出来栄です。
ペットボトルSP+電流帰還アンプの組み合わせはベストマッチでしたので、みなさんも挑戦されてみてはいかがでしょうか?電流帰還アンプの製作は少々めんどくさいかもしれませんので、市販のPC用ヤマハYSTスピーカーを 購入して、保証書を捨てて(汗)分解して利用するのが良いかと思います 。価格も新品で2〜3000円程度でありますからイチから自分で作るよりも安く済むと思います。
「turbo-S」の名称ですが、負性インピーダンス駆動のイメージが「turbo」で、それの小型(スモール)の「S」を組み合わせて付けたもので、決して昔EP71スターレットターボS改に乗っていたからとか、機会があればそれを復活させてタービン交換して最新スポーツカーをカモりたいとか、そういう理由で付けたのではないです。たぶん(笑)